精確・迅速・激烈

2027年1月までの日々

まだ避妊で消耗してるの? 40歳のパイプカット体験記、余は如何にして種無しとなりし乎

余は如何にして種無しとなりし乎

f:id:KCYS:20190126203707j:plain
(画像はイメージです)

2017年9月、40歳の夏に両側精管結紮切除の手術を受けた。いわゆるパイプカット手術。パイプカットとはなんぞやという人は、以下の Wikipedia を読んでもらったらいいのだが、要するに、男性側に外科手術を行い、避妊せずに性交してもほぼ100%妊娠しなくなる手術のこと。陰茎をぶった切ったり、陰嚢をもぎったりする乱暴な処置をイメージする人もいるかもしれないが、違う。

一般的にVacectomy日本ではパイプカットとも呼ばれている。男性の精巣(睾丸)から精嚢への管を外科手術的に閉塞する方法で、これを行うと精嚢に精子が貯蔵されなくなり精嚢腺と前立腺から分泌される精液に精子が存在しなくなる。パイプカットを行っても精液自体は無くならず射精も可能であるし、精巣で造られる男性ホルモンは睾丸に血流があればその分泌は衰えない。


パイプカットから1年半が経過したので、経緯と現状を記録として。

絶対避妊マンの形成

避妊の失敗というか、いわゆる「望まない妊娠」に対しての恐怖心がとても強かったのだが、きっかけは中学3年の時。当時交際していた同級生の女の子と、放課後に自宅で性交していた時に、感触がいきなり変わったので慌てて引き抜いて確認したら、コンドームが破れ、気がつかないうちに陰茎の根元にグルグル巻きになっていた。ちょうど、中学の保健体育の授業で、妊娠のメカニズムを学んでいたタイミングで、精液だけでなく、カウパー腺液(いわゆる先走り液)でも妊娠する可能性がある、といった内容が期末試験で問われていたような時期だったので、当時の俺は恐慌状態に陥ってしまった。2週間ぐらい、なにも楽しくないし、学校でも家庭でも心ここに在らずといった状態。中学生カップルで妊娠……。

幸いというか、この時には妊娠することなく、いつも通りのタイミングで相手に生理がきたので、心の底から安堵した記憶がある。また、素晴らしい教育方針なのだが、保健体育の担当教師が、中絶手術がいかに母体にとって負担が大きく、また胎児にとって残酷な処置なのかを、えらく臨場感を持って教えてくれる先生だったので、中絶という選択肢も俺の人生から消えた。


とにかく、この出来事がきっかけとなり、俺は絶対避妊マンとなった。

学生時代・独身時代

高校大学時代は完璧な避妊を心がけていたし、社会人になってからの交際で、相手が妊娠してもちゃんと責任が取れる立場になっても、基本的にはコンドームで避妊。あるいは相手に協力してもらい、基礎体温からどう考えても妊娠しないであろう時期に、膣外射精という人生を送ってきた。

結婚、子供を授かる

で、31歳で結婚して、その後一男一女を授かったのだが、妻と話し合って、人生設計的にもキャリア的にも子供は2人で満足だよね、という結論に達したのが5年前。それからも、そこまで頻繁ではないが、性行為はあったものの、基本はコンドームで避妊、生理前は膣外射精で過ごしてきたのだが、妻から生理の報告があるたびに、心の底で小さくほっと安堵する自分がいた。あとで聞いたら、妻もそうだったらしいのだが。

妻と相談

で、この小さな不安と安堵が、俺が勃起する限り、あるいは妻が妊娠可能な限りずっと続くのかと思った時、パイプカット手術がすごく自然な選択肢として挙がってきたというのが、手術を決意するまでの経緯。思えば避妊で消耗してきた人生でした。


妻に、

もう、避妊のことを心配せずに、思う存分愉しみたいからパイプカットしたいんだけど、どう思う?

と相談したら、妻も基本的には賛成。ただ、メスを入れるのは俺の体なので後悔はしないか、と問われたのだが、全く後悔の予感がなかったので、どんどん話をすすめることにした。

すやま泌尿器科を見つける

福岡市在住なので、パイプカットについてウェブで調べたら、すごい有名な泌尿器科が1件ヒットした。パイプカット界ではかなり有名なようだし、調べればすぐに出てくるので名前を出すが、福岡県大野城市にある、すやま泌尿器科というクリニック。

自宅から都市高速を使って車で30分。クリニックのウェブサイトとは別に、パイプカット専用のウェブサイトを運営されており、ここを一通り読めばパイプカットについての情報や、メリット・デメリットは十分理解できる充実ぶり。


よっしゃ、ここでパイプをカットしてもらおうということで、ちょっと緊張しながら電話をかけると、受付が当たり前の業務として、淡々と話を進めてくれる。ウェブサイトで年別月別のカットしたパイプの件数を公表されているので確認したら、この先生、少なくとも2日に1回はパイプをカットしている。俺に取っては一世一代の大カットなのだが、クリニックにしてみたら毎日カットしているパイプのうちの2本でしかないようなので、こちらも安心して任せることにした。


月曜に電話したら金曜の午後が空いているとのことだったので、予約。一度パイプカット手術をしたら、ほぼ子作りは不可能になるので、配偶者の同意書を持ってこいとのことだったので、作成して妻にサインと捺印してもらい、準備完了。ウェブサイトでダウンロードできるが、すごく簡単なもの。

オペ当日

当日、受付すると、早速診察室に通される。オペ前の簡単なカウンセリング。パイプカットしたい理由を聞かれたので、

妊娠の心配なく妻との性行為を愉しみたいんです!

とド直球で伝えたら、そういうことなら素晴らしい手法ですよ、と先生。で、先生、ラテックスグローブを手にはめながら、

じゃあ、ちょっとズボン下ろして横になって

といきなり始まった。俺もある程度心の準備をしておいたので、

押忍!

と返事をして、パンツを下ろしてベッドに横たわる。ちなみにここまで先生とマンツーマンで女性の看護士などはいないので、ちょっと安心。

先生、陰嚢越しに睾丸をグリグリ探って、カットすべきパイプ、すなわち精管を探る。グリグリ。で、ちゃんとオペ可能な部分に精管が左右2本あることを確認したら、

じゃあ、いこうか

とオペの準備開始。すごい、淡々かつスムーズ。


オペ室の隣の部屋で全裸になり、オペ着を羽織って、促されるままにオペ室へ。ベッドに横たわると、下半身が見えないような簡易カーテン的なものを腹の上にかけられて、あとは説明と音と感触のみの世界。

剃毛、消毒

看護士さんが、バリカン的なもので隠毛をバリバリ剃ってくれる。ある程度ツルツルになったら、消毒液をベタベタ塗って、念入りに消毒。来る前に、なんとなく一応シャワーを浴びてきておいたのだが、そんなの関係なく、陰嚢裏の蟻の門渡り部分もしっかり消毒。アルコールガーゼが冷たい。

切開

先生登場。麻酔は、注射針ではなく、なんかバチンという音と軽い衝撃があるタイプ。痛くはない。で、すぐに切開。切開といっても、麻酔は効いているし、術式的にも1箇所だけ数ミリ切るだけなので、全然痛みはなく、なんとなく陰嚢を引っ張られてるような感じがするだけ。

精管を結紮後、精管を切除する

切開部分から精管を手繰り寄せて外に引っ張り出し、2箇所を糸で結紮して潰して、間の部分を切って、両端を焼いてとどめを刺す感じ。内臓を引っ張り出されるような違和感と、電気メスで焼いているときにジワリと伝わってくる熱感以外は、痛みらしい痛みもなく、剃毛からパイプカットまで約15分で完了。簡単に縫合された傷部分には小さな絆創膏が貼られているだけで腫れもないので、パンツ履いて、ジーンズ姿に戻ってちょっと休憩。

f:id:KCYS:20190126180908j:plain
https://healthjade.com/vasectomy/ より

切られたパイプとお別れ

診察室に呼ばれると、ガーゼの上に小さな管が2本置かれていた。今となっては写真を撮っておけばよかったと後悔しているのだが、これがカットされたパイプ。自宅にあるもので再現してみたのが、以下の写真。

f:id:KCYS:20190126205634j:plain


術後の注意事項としては以下。

  • 今日からシャワー浴びてよし
  • 射精は1週間後から
  • 精管に精子が残っているので、性行為するならまだ避妊が必要
  • 10回程度射精すれば、残存精子もなくなるので、1ヶ月後に精液を持参か郵送で精子の有無を検査するので、醤油入れのような容器をもらう

ということで、無事にパイプカット手術終了。オペ代54,000円(税込)をクレジットカードで支払い、普通に車を運転して帰宅。

価格・オペ内容などは、2017年9月当時のものです。パイプカットを検討されている方は、現在の内容をお問い合わせの上で確認してください。

怒涛の自慰行為

で、ここから怒涛のごとく自慰行為の日々に突入したのである。オペが9月8日金曜だったのだが、さっさとノルマの10回を終わらせてしまおうということで、「射精は1週間後から」の注意ものなんのその、週明けの火曜から自慰行為に精を出し、出しまくったのである。Mac のカレンダーで射精回数を管理していたので記録が残っていたのだが、16日間で16回の射精を達成。10回を6回オーバーしたのは、一刻も早く妻との性行為に及びたかったので、精液検査で1匹たりとも検出されないように、念には念を入れたのである。猿の如し。

f:id:KCYS:20190126175658p:plain

【O】というのが自慰行為で、後ろの数字が回数。ちなみにオペ当日である9月8日にヌいているのは、オペ後、しばらく射精ができないのでは、という心配から、午前中に一発ヌいた模様。

精液検査

で、16回目の、朝一番採取の精液をなんとか容器に受けて、都市高速をぶっ飛ばして、すやま泌尿器科を再訪。郵便でもいいですよと言われてはいたのだが、そんなまどろっこしいことはしていられないのである。予約不要と言われていたので、診察開始と同時に受け付けに飛び込み、精液を提出。5分後、呼び出されたので、すごい勢いで診察室に入っていく。

おはようございます。精液持ってきました

はい、おはようございます。ちょっと指示した日より早いね(微笑みながら)、10回ぐらい射精しましたか?

16回しました!

オペの後は痛みなどはありませんでしたか?

全く問題ありませんでした。もし痛かったとしても、そんなものはどうでもいいのであります。で、どうでしょうか、私の精液は

顕微鏡で確認しましたが、ちゃんと精子は確認されませんでしたよ

確認されませんでした、というとは、もう精子はいないということでよろしいんでしょうか?

そういうことです

ということは、もう性行為の時に避妊をする必要はないのでしょうか?

そういうことです

先生、ありがとうございます!

ごくまれに、カットしたパイプが中ではずみで繋がってしまったというケースが、海外で報告されていますので、1年後に再度検査しますね

はい、わかりました(ほとんど聞いてない)ありがとうございました、さようなら。私はこれから忙しいので、これにておいとまさせていだきます

2回分の精液検査代も、オペ代に含まれているので、支払いもなく終了。


ということで、俺は生で性行為をしても妻を妊娠させない体になったのである。もうこれから死ぬまで、予定外の妊娠を心配しなくてもいいのだ。

術後初の性行為

ということで、パイプカット後、初の妻との性行為に望んだのが、前掲のカレンダーの28日。精液検査の翌日に仕事を休みにして、普段利用しているラブホテルに朝から突撃したのである。カレンダーの【S】が、それ。あまり感想を詳細に書いても生々しいので簡単に。40年生きてきて、妊娠の心配を全くせずに、さらに子作りのためでもなく、ただただひたすらに妻とのコミュニケーションと愉しみと快感に没頭できた初めての性行為だったのだが、最高でした。ありがとう。妻も、「よかった」と言ってくれた。

1年後の精液検査

自宅にストックしてあったコンドームも基礎体温計も捨てて、性生活を謳歌させてもらっている。で、完全に忘れていたのだが、オペ1年後の精液検査のことを忘れていたので、先日郵送して、その結果がメールで返ってきた。

f:id:KCYS:20190126183322p:plain

術後1年の検査になりますが、精子は出ていません。
術後経過は良好で今後も避妊の必要はございません。
今後何か精液に異常がありましたら、ご連絡下さい。


パイプをカットしてみて

人生に関わる選択なので安易におすすめしたりはしないし、術後の経過や性行為の感覚などは人それぞれなので、あくまでも俺の体験談を記録としてブログに記した。俺は、めちゃくちゃ満足している。人生から一つ、大きな不安のものが根絶されたのは、本当に清々しい気分。